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Halcyon Days

『るろうに剣心』 『フルメタル・パニック!』 の二次創作を
メインとする一個人のファン・サイトです。
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東野圭吾『卒業』読了

東野圭吾作品ではお馴染みの加賀恭一郎が初登場した、加賀恭一郎シリーズの第一作目。お馴染みとか書きつつ、実はわたしは読むの初めてです。梨花さんは最新作の『新参者』をすでに読んですごくよかったと感想を書いてますが。ちなみに『新参者』は現在阿部寛さん主演で連続ドラマを放送中で、そちらはわたしも見て気に入ってます

が、こちらの『卒業』はイマイチでした。伏線はきっちり回収してますが、重きを置いていたトリックが2つとも、それぞれ別の意味で「はあ?」って感じです。

1つめのトリックは、トリックそのものは単純ですが、あの伏線だけじゃ文系のわたしなんぞには絶対わかるわけありませんし、どこでもドアでも出された気分がしました。2つめのトリックは逆に複雑すぎてよく理解できませんでした。

登場人物の価値観や行動様式にも共感できません。特に波香については、あの性格設定の人物があの動機であの目的のためにあの場を選んであそこまで複雑な手順を踏む、というのに納得できません。なにより加賀たちの恩師の行動が理解不能です。保身のための身勝手な殺人に目をつむり、手助けまでしてしまうのはなぜでしょう?

推理小説というより青春群像小説といった趣が強いのですが、それにしては、結局友情なんてその程度のもんなのかと読み手に思わせるような青春小説ってのはどうよ、とツッコミたいです。やたらと「親友」という単語を出すので、よけいにその友情は薄っぺらく感じられてしまいますし……。

なんだかいろいろとすっきりしない作品でした。
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有川浩『海の底』読了

巨大ザリガニに襲われた横須賀の状況を描いたSFパニックものです。巨大化した甲殻類なんて、怪獣特撮ドラマかB級ハリウッド映画みたいですが、安っぽさはぜんぜんありません。『空の中』同様に1つあり得ない設定を据えて、その他すべてが徹底して現実的なので、実にリアルです。それに冒頭でいきなりザリガニ来襲のため、拒絶反応をもつ間もなくストーリーに引き込まれて、メインの人間ドラマに夢中になりました。

話は、陸上で攻防にあたる警察のサイドと、停泊中の潜水艦に閉じ込められた自衛官の青年2人+民間人の子供13人のサイドとを、交互に平行して進みます。

警察サイドでは、職業意識の高い警官たちがまさにプロの仕事をします。貧弱な装備のまま命がけで敵に立ち向かう機動隊員。出動したくてもできない自衛隊を出動させるべく策を練る対策本部。どちらも、法律の縛りや各機関の縄張り、上層部の及び腰などなど、様々な制限がある中で、最善の結果を出すためにそれぞれのできる範囲で精一杯に尽力します。とにかく格好いい大人たちばかりです。

潜水艦サイドでも、自衛官の夏木と冬原という大人(といってもまだかなり若い)がやはり格好いい。救出されるための努力を続けながら、子供たちの面倒もみなくてはならないのですが、その子供たちへの接し方がいいのです。甘やかすことなく、厳しいことを(特に冬原は必要があればかなり辛辣な言い方で)言いながら、保護する側の者としての立場をきちんと取っています。

また、子供たちは同じ町内の知り合いであるために、日頃の派閥や確執が持ち込まれ、狭い空間の中でその問題が浮き彫りにされます。しかしそれが、日常とは異質の状況や夏木と冬原の影響により、少しずつ変化していきます。子供たちが自分の心と向き合って成長していく様子もとてもよかったです。

それからちょっと甘めのラストシーンは、有川さんならではという感じでした。

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有川浩『空の中』読了

航空機の事故をきっかけに高度な知能をもつ未確認生物(UMA)と遭遇することになったファーストコンタクトものです。UMAの生態がかなりむちゃくちゃですが、その反面、人間側の反応をリアルに描いているため、実にありえそうな印象がします。1つ奇抜なものを中心に据えて、その他を現実に徹するという書き方がとても効果的でした。

話は人類の代表としてUMAと交渉する空自の岐阜基地の様子と、たまたまUMAを拾って懐かれた高知の高校生とその周辺の様子とを、交互に平行して進みます。この対比がおもしろい。大人たち(岐阜基地で交渉にあたる大人たちに限りますが)は俯瞰的、大局的な見地から穏やかに粘り強く確実に交渉を進め、他所からの横槍で交渉が決裂しかけたときにも間違いをきっちり修正していきます。一方、子供たちは主観的、局地的な考え方に偏り、不安定な情緒のままUMAに接して、感情の爆発をUMAにぶつける間違いをした後もさらに惑うばかりとなります。小説に限らず創作物ではとかくみっともない大人と活躍する純粋な子供という対照になりがちなので、高巳を代表とする大人サイドが格好いいのは重要かと思います。

ストーリーだけでなくキャラクターもそれぞれ魅力的です。特に宮じいは秀逸でした。最低限の素朴な言葉で最大限の思いを子供たちに伝え、その語りかけは厳しくて優しい。だけど、だから、心に響きます。こういう大人が身近にいれば、子供は間違った後にきちんとやり直しができるようになるんでしょう。間違ってもいい、間違ったらそれと認めて謝る、って単純だけど真理です。でもそれをきちんと教えられる大人はなかなかいません。現実を見回すと、その場限りの耳障りのいいことしか言わないような大人ばかり(自分を含めて)だったりしますから。

ただ、個人的には「仁淀の神様」は蛇足という気がします。ちょっとやりすぎというか……。その是非は好みの問題としておいておくとして、とにかく本編はとてもおもしろいSF小説でした。

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有川浩『塩の街』読了

「塩害」によりゆるやかに滅んでいこうとしている世界の片隅で、ひっそりと暮らしていた青年秋庭と少女真奈。ある日、相次いで青年2人と出会ったのを機に、秋庭と真奈は塩害への反撃に関わることになり……。

人を動かすのは、立派な主義主張なんかではなくて、自分にとってたいせつなものを守るためという、ある意味身勝手で矮小な理由なのでしょう。一度は滅びを受け入れようとしていた秋庭が、旧友の持ち込んだ話にのったのは、真奈が消えるのを見たくなかったからです。一方の真奈は、秋庭さえそばにいれば世界が滅んでもいいと言い切ります。どちらも道義からは外れているかもしれません。だけどそういう素の感情だから、感情移入できるのでしょう。

ただ、肝心の作戦実行シーンがまるっと抜けてるのはイマイチでした。それがなかったので、なんだかラストがあっけないように感じられてしまいました。そこさえあれば言うことなしだったのですが。

本作は『図書館戦争』の有川浩さんのデビュー作です。最初に電撃文庫で出版されているためか、かなりライトノベル色が濃いかもしれません。ヒロインの真奈も、受け身で華奢で健気で庇護欲を誘ういかにもなタイプ。でもさほど鼻にはつきません。『図書館戦争』ほど夢中にはならなかったけれど、とてもおもしろい小説でした。

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加納朋子『いちばん初めにあった海』読了

「いちばん初めにあった海」と「化石の樹」の中編2作品を収録。共通の登場人物がいて、前者で残された謎が後者で明らかになります。

加納朋子さんの作品はミステリーに分類されるようですが、この2編は少々ミステリーとは言い難いかもしれません。謎はたしかにあるのですが、謎の解明が主題ではないので。

「いちばん初めにあった海」は、つらい「過去」から目をそらしてしまった女性が、それを受け入れて立ち直っていく話。「化石の樹」は、とある「過去」を書き綴ったノートによって心に傷を負った女性が、そのノートから救いを得る話。どちらも謎解きそのものではなくて、謎を解くことで過去を乗り越えていくほうに重きを置いているんじゃないでしょうか。

加納さんのいつもの軽やかさはあまりなく、どちらかといえば暗めの内容です。でも重苦しい感じはなくて、読後感は爽やかでした。

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加納朋子『螺旋階段のアリス』読了

脱サラして私立探偵になった仁木順平と、押しかけ助手である安梨沙のコンビが、ちょっとした事件を解決する連作短編ミステリー。タイトルから察せられますが『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』をモチーフにしています。

加納朋子さんのミステリーでは、解明するのは日常の中にあるささやかな謎です。愛憎やら遺産やらが原因の殺人とか、大袈裟なトリックなんてものはまずありません。優しい話、切ない話、ほんわかした話が多く、読後感がいいものばかりです。それと構成が凝っていて、してやられたって思うことがしばしばです。

が、本書はわりとモヤモヤした感じの終わり方が多めかもしれません。構成もいつもの見事な作りに比べるとわりと単純だし、ちょ~っと物足りないかも。でも読後感は決して悪くないのはさすがです。なにより文章の素敵さは変わらず、とても惹かれる作家さんです。

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福井晴敏 『Op.ローズダスト』 読了

東京で個人を対象にした小規模なテロが連続し、それがやがてお台場一体を破壊するような大規模なテロへと発展していきます。自衛隊と警察の上層部の思惑が絡んで現場がうまく機能しない中、警視庁の並河警部補と防衛庁情報本部の丹原朋希三等陸曹は、壊滅状態になるのを阻止するために独自に行動を起こします。

あらすじとしては単純なアクションもので、それだけでももちろんおもしろいです。さらに自衛隊と警察の対立といった組織の壁とか、キャリアとノンキャリの根深い確執とか、上層部と現場との齟齬とか、個々のプライドの置き所とか、でも結局救いは人の善意にあったりとか、いろいろな要素を組み込んで、話が複雑になってるのがこれまた好みです。

とにかくすごくおもしろかったです。アクション満載でスピード感があり、特にクライマックスは手に汗握る展開でした。情景描写に少々くどい傾向がありますが、その分視覚的になるため映像で見ているような感じです。展開は王道というかハリウッド的というか、まぁ先が見えちゃうとこはあるのですけども、それでも十分楽しめました。

キャラクターは福井さんの定番、人生に躓いたくたびれた中年と心に傷を負った青年のコンビ。今回は朋希や並河の上司たちなど、周囲の人たちもそこそこ動いてたかな。でもやはり女性キャラはどうもお人形さん的でイマイチですかね。もうちょっと恵理を魅力的に書いてくれないと、朋希の脱出のシーンが活きてこないんじゃないでしょうか。でもこの作家さんは、現在の日本を覆っている漠然とした不安感、隣国と米国に対する日本の現状、人それぞれの思想や思惑、そういった事柄をホントうまく文章に表現できるなあと思います。

描かれたようなテロは、実際にいつ日本で起こってもおかしくはないわけで、フィクションとばかりも言ってられないとこありますよねえ。それにちょ~っとばかし右寄りな傾向のあるわたしとしちゃ、他にもまぁ考えるとこがそれなりあったわけでして……。

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今野 緒雪 『マリア様がみてる 私の巣』 読了

「マリア様がみてる」シリーズの番外編。主役は山百合会とはまったく関わりのない一生徒で、いつものメイン・キャラクターは端役としてしかでません。それに舞台も学校ではなく、主人公の家庭です。結果、本来の「マリみて」とはかなり別物かも。でも、ひたすらに優しい雰囲気であるのは通常どおりでした。

母親の再婚により、それまで母娘二人暮らしだった百(もも)が、突然三世代同居の大家族に加わるところから始まり、その新しい家族との約一年間を描いています。連作短編集ですが、時系列順に季節の移ろいと共に章立てした形になっているので、まとまりがいいです。

新しい家族は、母娘がすんなり溶け込んじゃえるような、とてもいい人たち。なんら確執もなく、特に大事件が起こるでもなく、平穏無事に、コメディタッチの温かい物語だけが綴られています。ワクワク、ドキドキ、ハラハラなんかとはまるで縁がないストーリーばかりだけど、逆に言えば安心感があります。

そもそも「マリみて」シリーズには悪意というものが存在しません。ちょっとわがままだったり、ちょっと意固地になったりするキャラはいても、いい子ばかりです。悪役は登場しません。ある意味まったく現実的ではない、一種のファンタシーとすら言えます。

ただ、こういう話は、良識のないヤツに応対したり悪意に晒されなきゃならない現実のせいで気分がやさぐれてるときに読むと、なんかちょっとホッとできるのです。

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畠中恵著『ちんぷんかん』読了

読んだのは先月。ということは去年ですか(汗)。以前は買った本を並べて写メってたけど、それもメンドーだからアマゾンの画像を使おうかなぁとか思ってるうちに、部屋の隅には本の小山ができてしまいました。相変わらず腰が重いので、なにかと時間がかかります。

さて『ちんぷんかん』ですが、江戸の大店である長崎屋の若だんなで、人と妖とのクォーターの一太郎を主人公にした、和風ファンタシー「しゃばけ」シリーズの第六弾。連作短編集で5話収録されています。

「鬼と小鬼」は、舞台が賽の河原というのもあって、ちょっと後味の悪さが残ります。冬吉については疑問が残るので、今後の伏線なのかなあ?

表題作の「ちんぷんかん」は、僧が妖と和算で勝負するはめになるのですが、この和算がなかなかおもしろいです。江戸時代にこんなのが流行ってたってのが興味深い。って数学どころか算数音痴なわたしが言うのもなんですが。

「男ぶり」は若だんなの母おたえの若かりし頃の話。これまでわりと謎な存在だったおたえですが、若だんなの聡明さは母譲りだったのですねえ。主人公が若だんなではないけど、この本では一番いつもの「しゃばけ」らしい話だったかも。

「今昔」は、少し異質な感じがしました。不可思議なできごとを若だんなが謎解きするという形はいつもどおりなのだけど、事件に妖ではなく、式神を操る力に酔った陰陽師が絡んでたせいかもしれません。

「はるがいくよ」はすごく切なかった。桜の花びらの精、小紅との期限付きの日々に、兄の松之助や幼なじみの栄吉が離れてしまうことや、ひいては長命な妖である佐助と仁吉をいつか自分は残して行くのだろうことを重ねて、人生観や死生観がじんわりと心に沁みます。

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実用書?

電車で隣に座ってたにーちゃんが真剣に読みふけってた本のタイトルが見えて、えっ? と思いました。そのタイトルは『通勤電車で座る技術』です。帯には「シット・ダウン・テクニックを極めよ」という煽りが書いてありました。

どーゆー本だよ、と好奇心から横目でちらちら中身を覗き込んだところ、見えたページには「ホームで並ぶときから戦いは始まっている」ってな文章があったり、章見出しに「病人を装え」なんぞとあったり。おいおい、って感じです。

ンな本を書くヤツも書くヤツだけど、読むヤツも読むヤツだよな~。そもそも買うだか借りるだかしてまで読むような本なのか?

ま、何を書こうと読もうとその人の勝手ですから、そりゃいいんですけどね。傍から見てて、なんか虚しさを憶えました。

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梶原 千早
隠れオタクの同人女です。
愛犬とジャニーズが癒し。
趣味は読書で、小説とマンガが好き。ジャンルはSF、ファンタシー、ミステリー、アクションなど。
最近、カルトナージュを習い始めました
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