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Halcyon Days

『るろうに剣心』 『フルメタル・パニック!』 の二次創作を
メインとする一個人のファン・サイトです。
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宮部みゆき 『名もなき毒』 読了

青酸カリによる殺人事件を軸にしたミステリーです。けれども物語が描いているのは、青酸カリという名前のある毒についてではなく、人から生じる名前をもたない「毒」についてです。人の内包する毒のほうがよほど恐ろしいのです。

この話の中で毒を出す人物は二人。一方は、職場でなにかと問題を起こして首にされたアルバイトの原田いずみ。直接の上司だった主人公の杉村三郎は彼女からの理不尽で執拗ないやがらせの標的にされます。もう一方は、青酸カリで殺人事件を起こした犯人。こちらは、成り行きから杉田が犯人探しをすることになって関わるはめになります。

ただ、毒を持つのはこの二人だけではないのだと、随所に表わされていました。温厚で理性的な杉田ですら、自分の娘に害が及びそうになったときには原田いずみに対しての敵意を剥き出しにしました。

毒は誰しもが身の内に隠しているはずです。現実を鑑みれば、自分自身を顧みれば、それはよくわかります。残念ながら人はそのようにできているようです。

原田いずみのように日常的に他者に対して毒を吐き出すタイプは、程度の差はあれ現実に少なからず存在します。また、犯人のように普段は大人しい性格でも、ふとしたことをきっかけに突然毒を吹き出してしまう場合もあるでしょう。実際にそのような事件がニュース番組を賑わしたりすることがあります。いつなにがきっかけで誰が毒を外に出すかなんてわかりません。何かのはずみで自分が毒を浴びる側になるかもしれないし、自分が毒を浴びせられる側になるかもしれません。

重い内容です。でも読後感が悪くないのは、杉村の性格と、どこかしら希望を残す終わり方によるものでしょう。毒に満ちた世界だけれど、解毒剤もちゃんとあるのだと描いてあります。

本作は『誰か』の続編で、主人公の杉村三郎とその周辺人物、基本設定が同じです。杉村は前作同様に、自分の立場にそれなり葛藤は抱えながらも、その立場は自身が選んだと自覚があり、それを受け入れています。いいキャラクターです。
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梶原 千早
隠れオタクの同人女です。
愛犬とジャニーズが癒し。
趣味は読書で、小説とマンガが好き。ジャンルはSF、ファンタシー、ミステリー、アクションなど。
最近、カルトナージュを習い始めました
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